構造体《基礎》
※基礎強度や立地条件により、中性化の進行状況は異なります。(築30年程度で必ず鉄筋がさびるということではありません)
現象1 中性化の進行
なぜこうなるの?(原因)
主に空気中の二酸化炭素によってコンクリートが中和され、コンクリートのアルカリ性が低下していく現象です。なお、中性化してもコンクリート自体の強度が低下するわけではありません。
メンテナンスを必要とする判断基準
診断調査結果により中性化の進行が浅ければ静観します。
メンテナンスをしないとこうなる
コンクリートの中性化が進行し鉄筋の腐食につながる恐れがあります。
コンクリート基礎の中性化
有筋基礎の場合のみ調査(築20年程度で調査することが望ましい)
中性化の進行の程度を測定し、コンクリート基礎内部の鉄筋の腐食の危険性を判断します。
コンクリートの中性化とは?
コンクリートはそもそもアルカリ性ですが、主に空気中の二酸化炭素によってコンクリートが中和され、コンクリートのアルカリ性が低下していく現象です。アルカリ性が低下すると、鉄筋を腐食から保護している皮膜が破壊され、鉄筋に腐食が生じます。その結果、鉄筋の体積が膨張し、基礎にひび割れを生じます。
現象2 鉄筋の腐食
なぜこうなるの?(原因)
コンクリートの中性化が進行すると、鉄筋を腐食から保護している被膜が破壊され、耐腐食性が低下するためです。
メンテナンスを必要とする判断基準
診断結果により中性化が深くまで進行していればメンテナンスが必要です。
メンテナンスの方法
中性化抑制塗料をコンクリート表面に塗布します。
メンテナンスをしないとこうなる
鉄筋の腐食により鉄筋の体積が膨張し、コンクリートのひび割れや剥落につながります。
現象3のように中性化が進み、基礎コンクリートの剥落、錆汁が発生する前に、目安として築25~30年程度で診断を行い、中性化の進行状況を確認しましょう。
現象3 鉄筋膨張によるコンクリートのひび割れ・剥落
なぜこうなるの?(原因)
腐食により鉄筋の体積が膨張し、コンクリートのひび割れ、剥落を引き起こします。
メンテナンスを必要とする判断基準
目視にて、ひび割れなどを確認した場合は早急にメンテナンスが必要です。
メンテナンスの方法
鉄筋の腐食による、コンクリートのひび割れ・剥落現象が起きた場合、状況により基礎の打ち増し、打ち直しが必要となります。
メンテナンスをしないとこうなる
コンクリートの中性化とは?
構造物の性能が低下します。ひび割れ・剥落が発生したコンクリートはさらに二酸化炭素の侵入を促すため、コンクリートの中性化の進行や雨水などの浸入による鉄筋の腐食が進行し、構造物の性能が低下します。
よくある質問
Q その他のコンクリートのひび割れ現象
A1 コンクリートの乾燥収縮によるひび割れ
コンクリートは乾燥収縮によりひび割れが発生します。とくに新築から1~2年くらいはコンクリート内に含まれた水分が徐々に蒸発することで体積が小さくなりひび割れが発生しやすくなります。とくに換気口などの開口部で発生が見受けられます。
乾燥収縮によるひび割れ(錆汁は伴わないもの)
●乾燥収縮や膨張などによって表面に生じた髪の毛ほどの幅(0.2mm~0.3mm以下が目安)の細くて深さのあまりないひび割れ。
●とくに構造には影響しないひび割れですが、気になるようでしたら、表面処理を行ってください。
※補修方法、判断基準は、住宅メーカーにより異なる場合があるので、再度ご確認ください。
A2 構造クラック(ひび割れ)
地盤の沈下などにより応力が集中した部分で亀裂が発生。乾燥収縮によるひび割れと違い、構造クラック(ひび割れ)は基礎に水平にひび割れが発生したり、斜めに発生したりします。
A3 構造クラック(ひび割れ)の改修方法
原因が沈下であれば、沈下修正工事が必要ですので、各住宅メーカーにご相談ください。
(メーカーによる沈下修正工事対応例)
沈下が進行中か否かで採用すべき工法が異なります。
沈下修正工事には大きく2タイプがあり、沈下が進行中である場合と沈下が終息している場合で採用する工法が異なります。
まず、沈下が進行している場合は、基礎の下に鋼管を圧入して支持層まで到達させるアンダーピニング工法などを用います。
次に、沈下が止まっている場合には、基礎と土台の間のアンカーボルトを切って、土台から上をジャッキで持ち上げる工法や基礎下に樹脂を注入して基礎を持ち上げるアップコン工法などが採用されます。
どちらの工法を採用すべきかについては、3カ月から半年の間隔で沈下量の測定を行い、数値が大きくなっていないかどうかで判断します。
豆知識
中性化診断の流れ
基礎の中性化診断
※中性化診断については各住宅メーカーにご相談ください。
基礎に出る白いアクは何?(白華現象)
コンクリートやモルタルの表面部分に白い生成物が浮き上がる現象を白華現象(エフロレッセンス[英]efflorescence)といいます。白華が生じたとしても、コンクリート構造物の強度には問題はありませんが、外見上の問題となることがあります。
原因
コンクリート内部(表層部)に浸入した水分が、蒸発する際に石灰分などの可溶成分とともに表面に染み出し固まる(一次白華)、もしくは空気中の二酸化炭素と反応(二次白華)して固まることによります。
白華現象は、コンクリートが固化する際の水分量、骨材、混和剤など多様な原因が関与して発生するものと考えられています。
太陽光が当たり乾湿の差が大きいと考えられる南側には生じやすい、気温の低い冬季より夏季の方が進行しやすいといった特徴があります。
つらら状に成長し、鍾乳石のようになることもあります。
酸性雨が主要因とされることもありますが、原因が多岐にわたるため、断言することは非常に難しいです。
対策
外見上の問題として、タイルや鉄平石の目地などに生じた小規模な場合には削る、もしくは、クエン酸を主成分とした洗浄剤が市販されています。
※洗浄剤を使用する際は必ず取扱説明書をご参照の上、作業を行ってください。